政府はこのほど、新しい資本主義実現会議を開催し、「三位一体の労働市場改革の指針(案)」を発表した。
基本的な考え方として、日本の賃金水準は長期低迷し(実質賃金の推移で、1991年から2021年にかけて米国1.52倍、英国1.51倍、フランス・ドイツ1.34倍上昇に比べ日本1.05倍)、それでも企業は人への投資を十分に行わず、個人も自己啓発を怠ってきた。ほぼ国内充足のガラパゴス的社会で活力は失われ、年功序列の不明瞭な評価体系で、報われるしくみがわからず、給料停滞でもデフレ経済でなんとかしのげて、転職しにくく、しても給料アップにつながらない社会。
今後は、人的資本が企業価値向上のカギとの認識の下、変化への対応を急ぎ、ヒトへの投資を抜本強化する必要ありとして、以下の改革を三位一体で進めることとした。(1)リ・スキリングによる能力向上支援(2)個々の企業の実態に応じた職能給の導入(3)成長分野への労働移動の円滑化。
ポイントとして、○円滑な労働移動を中小企業の成長機会へつなげていく○「ヒトへの投資」施策パッケージのフォローアップと施策の見直しを図る○給与制度・雇用制度の透明性の確保○退職所得課税の見直し○副業・兼業の奨励、等挙げている。
■参考|首相官邸|三位一体の労働市場改革の指針(案)令和5年5月16日・新しい資本主義実現会議|
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai18/shiryou1.pdf