日本税理士連合会の神津信一会長は会長の諮問機関である税制審議会の金子宏会長に対し、償却資産に係る固定資産税制度のあり方について検討するよう諮問した。神津会長は現行制度について▽法人の決算期に関係なく賦課期日と申告期限が定められているため企業に煩瑣な申告事務を強いている▽課税範囲に関し、家屋と償却資産の区分判定が困難な場合がある▽登記制度のある土地等と異なり課税客体の捕捉が不完全―などの問題点を挙げ、免税点や税率水準のあり方などを含め中小企業の事務負担を踏まえて総合的に検討するよう求めた。
企業が保有する事業用の償却資産に係る固定資産税制度は市町村の行政サービスに対する応益課税といわれ、与党の平成28年度税制改正大綱でも「制度は堅持する」とうたっている。
ただ、同制度はシャウプ勧告に基づき 昭和25年に創設されたもので、時代にそぐわない部分も増えている。神津会長は償却資産に対する課税について▽企業の設備投資の阻害要因になる▽製造業などの設備投資型の業種に税負担が偏っている▽償却資産を活用して得られる所得に係る事業税や住民税との重複課税になる―などの観点から、制度そのものを縮小または廃止すべきだという意見があるとしている。
■参考:日本税理士会連合会|税制審議会に「償却資産に係る固定資産税制度のあり方について」を諮問|
http://www.nichizeiren.or.jp/whats-new/p160628/