原判決を破棄、高裁に差し戻す 堺市側敗訴部分―最高裁

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所有権者が不明確な土地について、大阪府堺市が納税義務者を特定できないとして固定資産税と都市計画税の賦課徴収を行わず、徴収権が時効で消滅したのは、賦課徴収の違法な懈怠に当たるとして、損害賠償を請求した住民訴訟事件で最高裁第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)は、住民側の請求を一部認容した原審の判断には違法があるとして市側敗訴部分を破棄、大阪高裁に差し戻した。全員一致の意見。

問題の土地はかつてため池またはその堤などだったが、現在は宅地または雑種地等となっている。これらの土地は一部を除き、地区住民の総有に係る財産として堺市の財産台帳に登録されており、財産の管理と処分は土地の所在する地区の住民で組織されている自治会または町会の総会の決議による。原判決は、地方税法343条2項後段を類推適用し、自治会または町会が納税義務者に当たると判決。市側がこれを不服として上告した。

最高裁は、賦課期日におけるその所有権の帰属を確定せず、市当局の取り扱い等に照らして自治会等を実質的な所有者と評価することができるなどとして、2項後段の規定を類推適用することにより、自治会等が納税義務者に該当する旨の判断をしたものであり、原審の判断には後段の解釈適用を誤った違法があるとした。

■参考:最高裁判所| 固定資産税等賦課徴収懈怠違法確認等請求事件(平成27年7月17日・第二小法廷)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85218