「おもてなし」と言えば、従来は一般に旅館・ホテルか飲食店で使っていた。しかし、今や美容院・エステ・パチンコ店・写真館・医療施設等のサービス業を始め、スーパー・コンビニ・ブティック・宝石店等の小売業であっても、店員によるおもてなしが重視されるようになっている。ここでは、小売店で活動する店員のおもてなしとは何かについて考えてみる。
宿泊施設や飲食店であれば、調理人が差別化された料理を供したり、仲居やウエートレスがお客にかしずいて奉仕する姿が想像出来る。しかし、小売店では何を以て「おもてなし」とみるのか。当然、店員の主たる仕事は各種接客業務である。但し、単に「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」等の接客言葉を使ったり、売場案内や商品の説明をしたりすることだけではない。
おもてなしの多くは、販売活動の事前及び事後の業務で、普通お客の目に映らない仕事かもしれない。開店前には、店舗やトイレの清掃、陳列直しやPOP作り、セキュリティ設備やレジの確認等がある。閉店後に、お客に礼状を出したりする場合もある。更に店内に花木等を飾る、茶菓で接待する、急な雨に傘を貸す、商品を自宅に配達する、店員とお客がパーティや旅行会をする、等も一種のおもてなしである。