日別アーカイブ: 2025年1月10日

Weeklyコラム 上司の人間修養

経営成績や社員のやる気等が落ちた時、経営者の決まり文句に、「原因は社員能力の低さだ」というものがある。改善策として、「社員の採用基準を厳しくしよう」「新入社員教育を徹底しよう」等が提案される。経営資源の三大要素「人・物・金」は優先順位を表したものであろう。有能な社員を養成出来なれば、経営の発展は難しい。

X社(婦人服小売チェーン)では各店舗の運営権限をほとんど店長に任せてきたが、部下からの訴えが本部に来るようになった。「部下に責任を押し付ける」「店長が侮辱的な言葉を使う」等である。他方、店長からも「部下が指示に従わない」の嘆きが聞かれた。社員教育に力を入れたが効果がなく、経営者は従来の人材養成の手法を転換した。つまり、最初に経営陣が定期的に勉強会を催すことにした。1年後には管理者(店長等)や社員も参加し、知識だけではなく人間的素養を高める訓練をした。結果、経営陣や管理者のリーダーシップが向上した。

X社が人材養成を実行して実感したことは、「上司が人間修養をしなければ部下が信頼して従わない」「上司が手本を示して指導すれば、部下は共同体意識を持つ」「部下の長所を見つけて褒め、それを活用することが有効」ということだった。

不正利益による財産の没収 憲法29条違反ならず

本件は、被告人が財産上不正な利益を得る目的で商標法違反の犯罪行為を行い、得た財産を他人名義の銀行口座に預け入れ、犯罪収益の取得を仮装した事案。この預金債権の没収が争点となった。まず、改正前の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「法」)13条1項6号が適用され、犯罪収益及び犯罪収益に由来する財産全体の没収が可能と判断されたが、被告人は、正当な経済活動により得た財産の没収が憲法29条に違反すると主張。 続きを読む