ある時、経営者は商品・人材・人脈・設備・取引先等、わが社の財産(お宝、経営資源)とは一体何かと考える。抑々、自慢出来るようなお宝がどれだけあるのか。
経営者は躊躇しながら、筆者に相談を持ち掛けて来た。X社(従業員20人)は創業から60年、先代がお茶の仕入・加工販売から出発し、現社長Aが35年前に入社してから一般食品の卸売業を始め、飲食店と事業所給食等への食材を提供していた。10年前から競争激化により売上が下降していた。商品の差別化と配送の迅速化に力を入れて来たが、大手企業によって得意先を失いつつあった。A社長は、会社の中核経営資源を明確にするため、筆者にX社の商品・人材(知識経験・人脈・年齢等)・車両等の設備・取引先の信用度等の分析を依頼。
その分析や経営会議により、意外な経営資源・お宝に気づく事もあった。例えば、先代から力を注ぐ業界でも話題にのぼる商品の検品・検収、配送システムの構築や、現在は飲食店より病院・福祉施設の方に年々重点が移ってきたこと等である。
X社のような営業型事業の場合、相手方の分析に力を注ぐ事は普通であるが、意外に自社の商品や人材の分析を疎かにしている。頻繁に自社の商品・人材・設備等の特徴や強味を確認して行動する事が重要である。