新規開業等によって、商売が首尾よく回っている経営者に成功の要因を聞く事がある。開業当初は計画内容や調査結果が不安で、毎晩悩んでいたというような場合が多い。計画作りや立地調査等が足りなかったと心配したり、開業時期が悪かったと悔いたりして、事前準備の重大性を痛感する。
逆に、開業等に失敗した人に要因を聞くと、計画策定や事前調査等を疎かにし、楽観して出たとこ勝負をしてしまつたと悔いている場合が多い。商売成功の成否は、確率で言えば上記二通りのようになる可能性が強い。まぐれによる成功は、その理由が明確でない事もあるが、失敗は必ず理由がある。古代の兵法等にも同じ事が言われている。
例えば、「敵情を知って身方の事情も知っておれば、百たび戦っても危険がなく、敵情を知らないで身方の事情を知っていれば、勝ったり負けたりし、敵情を知らず身方の事情も知らないのでは、戦うたびにきまって危険だ。」と(金谷治訳注『孫子』謀攻篇第三、岩波文庫より)。ところで、「計画・調査等の事前調査をいくら厳密にしても必ずしも成功しない」、と言う人がいる。しかし、このような人は、これまで計画策定や調査等をあまり行わなかったかもしれない。何かと真剣に取り組む場合は、出たとこ勝負は避けるべきと思う。