定年延長が叫ばれている。同調する人(又は事業所)、反対する人がいる。同調する人の思いは、大きく分けて二通りあるようだ。すなわち一方は、出来るだけ高齢まで働き続けたいという人。他方は、働き続けたい訳ではないが、各種事情(ローンが残っている、教育費がかかる等)によって働かざるを得ない人である。
何歳まで働くかの要因には、仕事に対するやりがい、本人の健康や体力、老後資金の状況、待遇の満足度、職場の人間関係、趣味の有無等がある。待遇に関しては、一般に定年延長期間中の処遇条件が大きく低下する事である。給料・賞与だけでなく、役職から降ろされたり福利厚生が制限されたりする場合も多い。これまでの継続雇用期間が伸びただけにならないだろうか。
また、定年が60歳(継続雇用65歳)の会社では、現在早期退職制度等と称して50歳代で転職や独立開業する人もいる。まだ一部であるが、専門的キャリアを積んだ労働者は定年を待たずに、有利な転職や独立開業等を準備する。定年延長に同調しない人は65歳くらいで辞めたいという。現在、男性の健康寿命は約73歳であるが、健康で自由な老後を5~10年持ちたいと思えば、より長く働き続ける事に躊躇する。定年延長によって、総労働者数が増加するかは疑問である。