財務省大臣官房総合政策課の岡昂一郎/木下裕也両調査員は同省広報誌「ファイナンス」11月号に「人的資本理論からみたDXの現状と課題」と題する論考を寄稿。
日本では付加価値を高めるようなデジタル化(DX)が広がっていないと問題提起、DX化が進まない理由として、日本では特に「人材不足」が突出している。諸外国に比べIT人材の割合は低く、米国対比ではDX人材の量と質に対する不足感が非常に高いと指摘。企業は持続的な成長のために、収益の一部や内部留保を活用する等、人的資本の蓄積を進め、投資収益を回収できるビジネスモデルを再構築すること、そして生み出された収益を、DX人材を中心とする従業員へ還元していく好循環を生み出すことが求められると呼びかけた。
論考によれば、国際経営開発研究所(IMD)が公表した2021年デジタル競争力ランキングでは、欧米諸国が上位にランクインする一方で、日本の順位は低位にとどまっている。上位にランクインしている国は、社員教育・公的支出のいずれか、もしくはその両方が旺盛。人的資本へ投資の差異が表われている。日米比較を見ると、社員のリスキリングにおいて、日本企業では約3割にとどまっているのに対し、米国企業は約8割の入に学び直しを実施している。
■参考:財務省|人的資本理論からみたDXの現状と課題(広報誌「ファイナンス」10月号)|
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202210/202210i.pdf