現在、国際紛争・コロナ禍・円安等を原因とする経済停滞や消費者物価指数の上昇、企業のコスト上昇による経営不振等、各立場による社会・経済不安が発生している。反面、円安による需要増加(外国人旅行客は典型)を売上・利益増強機会と捉えて、売上拡大に結び付けている企業も多くある。
例えば、海外向けのネット販売(新品中古問わず)をしている企業である。X社(中古ブランド品のネット販売業)は、従来は国内向けネット販売が中心であった。しかし、円安が急速に進んだR4年春頃からは海外向けネット販売額が3倍以上になった。理由は、日本円の価格が同じであれば海外の顧客(ドル決済)は、以前よりずっと安く買えるからである。X社は日本円価格を据え置いているので、購買客が急増した。同業者の中には、日本円価格を上げて利益を増やしている企業もあると聞く。
他方、X社が将来心配する事は、円安緩和政策として市場金利が急速に上がる恐れだ。X社の在庫は高額商品が多く、借入金規模も大きい。借入金利が1%高くなれば、年間金利が数百万円も増える。2%以上になると、経常利益はほぼ消えるのである。今や、円安の効果を利用した活動が試されている。知識・経験・業界特質・支援策等を活用してこの国難を乗り切りたい。