実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資に関する中日信用金庫の不正は、地域金融機関に緊張を走らせた。
行職員はセーフティネット保証の認定申請において、売上高の減少率が申請基準に達していない取引先について、売上高を偽装して保証承諾を得ていた。ゼロゼロ融資の実行額は大手信金並みで、2020年3月末時点の貸出金残高は1533億円だったが、20年度に扱った100%保証融資は538億円。営業推進担当がコンプライアンス担当を兼務する、コンプライアンス部門及び内部監査部門における牽制機能が確保されていないなど態勢が甘く、法令遵守の意識の希薄化が指摘された。
東海財務局は行政処分として、経営責任の明確化等の実行と、それに関する業務の改善計画の提出・報告を求めた。中日信金への処分を受け、これまで扱ったゼロゼロ融資で申請された売上高減少幅の正確性などのチェックを始めた信金もある。
融資が急増したコロナ渦で営業現場に業績目標達成への圧力を強めた金融機関は多い。コンサルティング会社主導で不正が起きていた可能性もある。ゼロゼロ融資で調達した資金で高級車や投資信託を購入している案件も見られた。売上高改ざんや不適切な資金使途が発覚すれば、融資した金融機関も原因と責任の究明を迫られる。
■参考:東海財務局|中日信用金庫に対する行政処分について(令和4年9月30日・東海財務局)|
https://lfb.mof.go.jp/tokai/content/kinyuukantoku2/chunichi220930.pdf