Weeklyコラム 長寿社会の家屋

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最近のマスコミ報道によれば、全国で100歳以上の人が9万人を超えたという。日本人の平均寿命は世界でトップクラスであり、65歳以上の高齢者が年々増加して、その比率も世界で最も高くなっている(令和2年現在3,619万人、比率28.9%)。

さて、全国の空き家は現在800万戸以上あり、今後もさらに大きく増加の見込みである。空き家が増加した原因は種々あるが、その一つは平均寿命が伸びて相続人の平均年齢が高くなった事である。近年は相続人の多くが親と同居せず、結果相続人は余所に家を所有している場合が多いのである。したがって、相続した家屋が容易に処分出来なければ空き家になってしまう。また、高齢者の住居は賃借にすれば空き家にならないという意見がある。

しかし、持ち家を早くに処分して高齢者が賃借しようとしても、賃貸者が歓迎しないという課題がある。空き家・空き地問題は国家が中心になり、新システム構築を工夫すべきである。さらに、日本の家屋は従来高齢者向きになっていない傾向がある。中古物件を求めている人(特に中高年者)は、高齢者が住んでいた空き家に一般に強い関心を持たない。今後、建替えの際等は、平屋造りや介護設備等に配慮した設計が求められるであろう。