原判決破棄、取消請求も棄却 裁量権に関する解釈適用に誤り

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普通地方公共団体である上告人の消防職員だった被上告人が、任命権者である長門市消防長から地方公務員法28条1項3号等の規定に該当するとして分限免職処分を受けたのを不服として、その取り消しを求める事案で最高裁第三小法廷は原判決を破棄、第1審判決を取り消し、被上告人の請求を棄却した。

被上告人は平成20年4月~29年7月の間、上告人の消防職員約70人のうち、部下等の立場にあった約30人に対し約80件の“パワハラ行為”をした。消防長は29年8月22日付で組織全体への影響が大きいなどとして本件処分をした。原審は、本件各行為は被上告人個人の素質、性格等にのみ基因して行われたものとはいい難いから分限免職とするのは重きに失するとして違法とし、取り消し請求を認容。

最高裁は▽免職の場合には特に厳密、慎重な判断が要求されることを考慮しても、被上告人に対し分限免職処分をした消防長の判断が許容される限度を超えたものとはいえず、裁量権の行使を誤った違法なものとはいえない▽このことは、上告人の消防組織において上司が部下に対して厳しく接する傾向等があったとしても変わるものではない―とし、原審の判断には分限処分に係る任命権者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとした。

■参考:最高裁判所|部下への暴行等を繰り返す行為をした地方公共団体の職員が地方公務員法28条1項3号に該当するとしてされた分限免職処分が違法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91402