水道事業者である被上告人との間で給水契約を締結している上告人らが、給水区域内の宮古島市伊良部で生じた断水により経営する宿泊施設における営業利益の喪失等の損害が生じたなどと主張、被上告人に対し契約の債務不履行等に基づく損害賠償を求める事案で最高裁第三小法廷は原判決を破棄、福岡高裁に差し戻した。
同市水道事業給水条例16条3項の位置づけと解釈が争点。16条1項は「給水は、非常災害、水道施設の損傷、公益上その他やむを得ない事情および法令またはこの条例の規定による場合のほか、制限または停止することはない」、3項は「第1項の規定による給水の制限または停止のため損害を生ずることがあっても、市はその責めを負わない」と規定。断水は、被上告人が設置し管理する水道施設内の装置の破損が原因。原審は、被上告人に故意または重過失があるとはいえないから給水義務の不履行に基づく損害賠償責任は3項により免除されると判断。
最高裁は、3項は、市が水道法15条2項ただし書により給水義務を負わない場合において同義務の不履行に基づく損害賠償責任を負うものではないことを確認した規定にすぎず、市が給水義務を負う場合において同義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定ではないと説示した。
■参考:最高裁判所|水道事業者である市が水道法15条2項ただし書により給水義務を負わない場合において、市が給水義務を負う場合において同義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定ではない(令和4年7月19日・第三小法廷・破棄差戻)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91304