Weeklyコラム 交渉の糸口

LINEで送る
[`yahoo` not found]

某不動産屋さんから聞いた話である。不動産仲介は、物件によっては中々前進しない。そんな時、「価格を少し考えてくれませんか」と交渉されると、俄然期待が高まるという。値下げ交渉する買主、又は値上げ交渉する売主は、成約に至る可能性が強い。

X社(建材卸売業)のA営業課長の交渉力は、地域の建築業者の間で評判である。A氏は、建材に関する商品知識や市場動向等に詳しく、社内は勿論社外の同業仲間や納入先の経営者等から頻繁に問合せが入る。A氏は取引先から問合せが入ると、商品の販売か否かに関係なく対応する。最も注意している事は、当方で持っている商品や情報を押し付けない事である。相手の疑問・不満・悩み等を十分に聞いて、必要な商品供給と情報提供を迅速に実行している。また、部下の営業マンから商品売込みや価格交渉の相談を受けた時、共通の回答は、「売込みの糸口は、相手の要望や問題点を確実につかむ事。糸口を掴めば、価格交渉や商品供給の提案を主導的に進められる」と、A氏は説明する。

交渉の糸口を無視して、売主は商品を「買え買え」と売込み、買主はいつもの習慣で「下げろ下げろ」と言ってにらみ合う事は非効率である。売主としては、有用な商品情報と適正価格を明確に示し、交渉の糸口を掴むことである。