保険会社の損害賠償額支払 有効な弁済に相当-最高裁

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交通事故で傷害を受けた被上告人が、加害車両を被保険自動車とする自動車損害賠償責任保険の保険会社である上告人に対し、自動車損害賠償保障法16条1項の規定による請求権に基づき、保険金額120万円の限度における損害賠償額から上告人の被上告人に対する既払金を控除した残額103万余円の支払いを求める事案で最高裁第一小法廷は原判決を破棄、第1審判決を取り消し、被上告人の請求を棄却した。

被上告人が事故による傷害に関して労働者災害補償保険法に基づく給付を受けたことにより国に移転した直接請求の行使を受け、上告人が国に対して103万余円の支払いをしていることから、本件支払いが有効な弁済に当たるか否かが争われている。原審は、被上告人が国に優先して支払いを受けるべき損害賠償額につきされたものだから有効な弁済に当たらないと判断、被上告人の請求を認容した。

最高裁は、被害者の有する直接請求権の額と、労災保険法12条の4第1項により国に移転した直接請求権の額の合計額が自賠責保険金額を超える場合であっても自賠責保険の保険会社が国の上記直接請求権の行使を受けて国に対して自賠責保険金額の限度でした損害賠償額の支払いは有効な弁済に当たると解するのが相当、と説示した。

■参考:最高裁判所| 国に移転した請求権の額の合計額が自賠責保険金額を超える場合でも自賠責保険会社が国にした損害賠償額の支払は有効な弁済に当たる(令和4年7月14日・第一小法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91302