弁護士の訴訟行為排除できない 規定の拡張解釈・類推適用戒め

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原発事業に関して関係者から多額の金品を受領していた取締役等(被告)に対して会社側(抗告人、原告)が会社法423条1項に基づく損害賠償を請求する事件に絡んで、被告側が訴訟代理人による訴訟行為の排除を求める申し立てを行ったところ却下された。

同決定に対する抗告審の取り消し決定に対する許可抗告事件で最高裁第一小法廷は原決定を破棄し、原々決定に対する抗告を棄却した。損害賠償請求訴訟において原告側の設置した取締役責任調査委員会の委員だった弁護士が原告の訴訟代理人として行う訴訟行為を、弁護士法25条2号および4号の類推適用により排除することができるかどうかが争点。原審は、弁護士らが抗告人の訴訟代理人として行う各訴訟行為は各号の各趣旨に反するとして、上記各号の類推適用により各訴訟4行為を排除。

最高裁は、弁護士に委任をして訴訟を追行する当事者の利益や訴訟手続きの安定等を考慮すると、25条に違反する弁護士の訴訟行為を排除する判断において同条の規定についてみだりに拡張または類推して解釈すべきではないと指摘。本件訴訟において弁護士らが抗告人の訴訟代理人として行う各訴訟行為について、各2号の類推適用があるとしてこれを排除することはできないと解するのが相当だとした。

■参考:最高裁判所|損害賠償請求訴訟において取締役責任調査委員会の委員であった弁護士が原告の訴訟代理人として行う訴訟行為を排除することはできないとされた事例
(令和4年6月27日・第一小法廷)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91275