Weeklyコラム ふたたび経営に挑戦

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日常生活ではほとんど聞かないが、「捲土重来」(けんどちょうらい)という言葉がある(三省堂国語辞典第二版によると、一度やぶれ失敗した者が、ふたたび全力をあげてくる〈やりなおす〉こと)。

筆者の知人A氏は機械部品製造会社を経営していたが、新商品開発の失敗によって会社が破綻してしまった。年齢も60歳代となり、これまでの友人知人の音信も減って、疎外感に悩んでいた。そんな中、長年付き合いのあった学生時代の友人B氏から連絡があり、B氏の兄が経営する食品卸会社Xを経営してくれないかという依頼であった。B氏の兄は高齢で、後継者がいないとのこと。

自信を失っていたA氏は最初迷っていた。しかし、B氏の兄から、5年間経営してもらえればいつX社を整理しても良いという事を聞いて引受けた。A氏は、長年の経営経験を活用し、事業分野が異なるX社の取引先や従業員の信頼を短期間で得る事が出来た。結果、顧客開拓も順調に進んで、売上・利益共に伸ばす事が出来た。

一番の苦労は、「油断すれば、また失敗するかもしれない。今度こそ、誰も寄ってこなくなる」という恐怖であった。しかし、A氏は昔自分の会社を立ち上げた時の真剣な気持ちを取り戻し、初心忘れるべからずをモットーに経営に打ち込んでいる。