最高裁第二小法廷は親子関係不存在確認事件で、上告人は本件訴えにつき法律上の利益を有すると判断、これと異なる見解の下に訴えを却下した原判決を破棄。併せて第1審判決を取り消し、鹿児島家裁に差し戻した。
事実関係は、亡Aと亡Bは亡Cと亡Dとの間の子。亡Eは戸籍上、亡Cと亡Dとの間の子とされている者。亡Bの戸籍上の法定相続人は、亡Aの子である上告人ほか1名および亡Eの子ら3名。上告人が検察官に対し、亡Eと亡Cおよび亡Dとの間の各親子関係の不存在の確認を求める事案。原審は、上告人は、本件各親子関係の不存在により自己の身分法上の地位に直接影響を受けることがないから訴えにつき法律上の利益を有しないと判断。
最高裁は▽上告人は亡Cと亡Dの孫、亡Eの戸籍上の甥、亡Bの法定相続人。本件各親子関係が不存在だとすれば、亡Bの相続において亡Eの子らは法定相続人とならない。各親子関係の存否により上告人の法定相続分に差異が生ずる▽親子関係不存在確認の訴えを提起する者が訴えにつき法律上の利益を有するには、親子関係の不存在により自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けることを要する。上告人は法定相続分に上記の差異が生ずることで自己の身分関係に関する地位に直接影響を受ける―とした。
■参考:最高裁判所|親子関係不存在確認の訴えについて確認の利益があるとされた事例(令和4年6月24日・第二小法廷)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91262