Weeklyコラム 無店舗又は移動型店舗の立地

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ある魚介類図鑑によると、イソギンチャクは海辺の岩の上等に定着して獲物を取っており、クラゲは海中に浮遊して獲物を取って生活している。人間の商売であれば、イソギンチャクは通常店舗のような固定型であり、クラゲは訪問販売・移動販売・無店舗販売のような移動型である。

商業は、いつの時代も固定型と移動型が混在していた。例えば、江戸時代であれば、振り売り(野菜・魚貝・薪・食用油等を担いで街中の売り歩き、鍋釜包丁の修繕等)や置き薬屋等は移動型の典型である。戦後、昭和時代までは商店・百貨店・スーパー等の固定型が中心で、近年は訪問販売や通信販売等のような移動型又は無店舗販売が増えている。

高齢者向けの移動販売や食材・食事の配送等も移動型である。ここで注意すべきは、どちらの型に分類されるかによって立地条件の検討事項又は条件の度合が大きく異なる事である。移動型であれば、配送や社員行動の不便さが無ければ、拠点をどこにおいても商売が成り立つ。

リモートワークに似て、たとえ都会の消費者をターゲットにする場合であっても、業種業態によっては郊外や僻地の立地も可能である。新規開業者が立地条件を検討する場合は、経営の拠点を固定型にするか移動型にするか慎重に考えて頂きたい。