昨年から政府税調で方針が打ち出されていた通り、本改正には富裕層の税逃れ対策が明確に盛り込まれた。合計1億円以上の有価証券等又は未決済デリバティブ取引等を有する居住者が国外転出をする際、それらを譲渡もしくは決済したものとみなしたうえで、事業所得、譲渡所得又は雑所得の各金額を計算する。転出の日前10年以内に、国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年超である者が対象となる。
ただ、この特例の適用を受けた者が、それらを引き続き有したまま転出から5年を経過する日までに帰国した場合には、帰国から4月を経過する日までに更正の請求を行い、課税を取り消すことができる。
また、転出の日の属する年分の確定申告書に納税猶予を受けようとする旨の記載をすれば、有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済があったものとされた所得に係る部分の所得税の納税が猶予される。転出から5年を経過する日までとするが、申請により転出の日から10年を経過する日を期限とできる。
独仏などではこうした特例を既に導入しており、今回の改正は昨年9月に公表されたOECDのBEPS行動計画の第一弾報告書の勧告に沿ったものとなる。日本では年間100人程度に適用される見通し。
参考:平成27年度税制改正大綱
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/126806_1.pdf