原処分庁が請求人の事業所得を推計し、それに基づいて行った更正処分等に対し、請求人がその全部の取消しを求めた事案で審判所は、原処分庁の算定に一部誤りがあると判断した。令和3年8月4日裁決。
魚のあらの回収業を営む請求人が行った確定申告について、原処分庁は所得税等に関する調査を実施。その結果に基づき、事業所得の金額を資産負債増減法により推計し、所得税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。原処分庁は、子名義の普通預金口座Pから引き出された金銭によって請求人名義の定期預金口座Qが開設されたとの事実を裏づける証拠はないとして、減算調整項目(事業外所得)として減算すべき金額はない旨を主張。
しかしながら審判所は、Pから計200万円が引き出された翌日に同額がQに入金され、その入金以外に充てられたことをうかがわせる事情がないこと、Pに係る通帳等を請求人の同居人が管理していることなどからすれば、Qに入金された金銭は事業所得を原資とするものとはいえず、純資産の増加額とは認められないとした。一方で、事前通知や調査理由の開示等についての原処分の違法性や不当性、事業所得の推計の必要性やその方法に合理性がないとした請求人の主張には理由がないとした。
■参考:国税不服審判所|原処分庁が用いた資産負債増減法による事業所得の推計方法において、基礎とした資産の認定に一部誤りがあるとした事例|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/1401000000.html#a124