解雇の是非を巡って訴訟となり、解雇が無効とされるケースは少なくない。解雇が無効である以上、原則として職場復帰することになるが、職場復帰せず退職するケー スも一定数存在する。
一部調査では復帰できないケースが3~4割程度存在するとされている。そのような場合、金銭救済をどのようにするかについての検討が行われている。解雇無効時の金銭救済制度については、「新しい経済政策パッケージ」(平成29年12月8日閣議決定)において、「「透 明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」の検討結果を踏まえ、可能な限り速やかに、労働政策審議会において法技術的な論点についての専門的な検討に着手し、同審議会の最終的な結論 を得て、所要の制度的措置を講じる」こととされている。
同省では、解雇無効時の金銭救済制度に 係る法技術的論点に関する検討会の報告書(たたき台)を公表した。現状、踏み込んだ解決策が提示されている状況ではないものの、制度導入に向けた議論が更に進むことが予想されている。労働者側からは、この制度は解雇を促進するため労働者の利益 につながらないとして反対する声も根強い。制度の導入にはなお紆余曲折が予想され、今後の議論の行方が注目されている。
■参考:厚生労働省|「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会報告書」の報告書を公表します|
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25079.html