非上場会社が株主以外の者に発行した新株の発行価額が商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ2第2項にいう「特ニ有利ナル発行価額」に当たるかどうかが争われた株主代表訴訟で最高裁第一小法廷は、客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額が決定されていたといえる場合には、特別の事情のない限り、「特ニ有利ナル発行価額」には当たらないと判断した。そのうえで、原判決中、取締役だった上告人らの敗訴部分を破棄し、同部分につき第1審判決を取り消すとともに、被上告人の請求をいずれも棄却した。(裁判官全員一致)。
この訴訟では1株当たり1500円とされた新株の評価額と、その算定にあたり使われた配当還元法が妥当かどうかが争点となった。原審は(1)公正な価額は少なくとも1株7000円を下回らない。発行価額は「特ニ有利ナル発行価額」に当たる(2)配当還元法の適用は、争いとなっている事案の場合は相当性を欠く―として、被上告人の請求を一部認容すべきだとした。最高裁は(1)について、株価の算定は客観的な資料に基づいていた、(2)についても、このような場合でも配当還元法が適さないとは一概にはいい難いし、不合理であるともいえない―などと説示した。
参考:裁判例検索結果
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84873