共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく権利を行使する者の指定、およびその者の氏名または名称の通知もなく行われた株主総会決議が有効かどうかが争われた訴訟で最高裁第一小法廷は、決議の方法に法令違反があるとして決議を取り消した原審の判断を是認し、原審同様、会社側の上告を棄却した。ただし、原審がとった論旨は採用できないとした。
この訴訟では、会社法106条ただし書が規定した会社の同意により決議が適法なものとなるかどうかが争点となった。
最高裁は、会社の同意があれば、特定の共有者が共有に属する株式について適法に権利行使できるとした規定だとした原審の解釈には問題があるとした。そのうえで、▽共有に属する株式について指定および通知を欠いたまま権利が行使された場合、それが民法の共有に関する規定に従ったものでない時は、会社がただし書の同意をしても、権利の行使は適法とならない▽共有に属する株式についての議決権の行使は、議決権の行使をもって株式を処分または内容を変更するなど特段の事情のない限り、株式の管理に関する行為として、民法252条本文により各共有者の持ち分の価格に従い、その過半数で決せられる―と説示。これを事案に適用し不適法だと判決した。
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<http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84875>