国のコロナ禍対策として、企業への融資が手厚く実施されている。企業の一部は、コロナ禍以前よりも資金繰りが楽になった所もある。ところで、借金によって資金が回っているうちは良い。しかし、今回の借金によって増加した返済が始まった時、より多くの返済資金が獲得出来るだろうか。
いつの時代も言われて来たが、「稼いでから使うか、稼ぐ前に借りて使うか」という言葉がある。住宅であれば、貯めてから作るか、住宅ローン等で借りて作るかというような違いである。正解は無いが、今や多くの国民は、貯めてから家を持とうとすれば老人になってしまうかもしれない。注意すべきは、無計画な借金が企業も個人も不幸(貧窮)にするという事だ。古人も繰返し主張している。
例えば、「今日飲む酒無き時は借りて飲み、今日食ふ米なき時は、又借りて食ふ、是(これ)貧窮すべき元因なり」等と(福住正兄筆記、佐々井信太郎校訂『二宮翁夜話』岩波文庫)。 現代社会の企業(個人も)は、一般に借金無くしては経営維持が難しい。
経営者は、借金をする場合に必ず計画性(資金繰りや経営ビジョンの具体化)を明確に持つ事ではなかろうか。前もって、借入金の用途・時期・必要額、自己資金と借入金の割合、返済の金額・時期・調達法等を具体的に決める事だ。