OECDでは先般、136カ国・地域による画期的な合意と「経済のデジタル化に伴う課税上の課題に対処するための二本の柱からなる解決策に関する声明」を取りまとめた。
経済のデジタル化の下、必ずしも物理的拠点を必要としない企業等に十分な課税ができない状況が生じていた。また、特許やブランドなどの無形資産の価値が高まっており、適正な独立企業間価格の算定が困難になっている上、多国籍企業グループ内の無形資産の移転が容易になる中、低い法人税率や優遇税制を有する軽課税国へのBEPSリスクの増大も課題であった。
声明のうち第一の柱は、多国籍企業に対する課税権の一部を、その企業が本拠地を置く国から、物理的拠点の有無によらず多国籍企業が利益を得ている市場へ再配分するもの。世界全体での売上げが200億ユーロを超え、かつ利益率が10%を超える企業が対象。残余利益の25%、100社の1,250億米ドル超の利益が再配分され、特に途上国で税収の増加割合が高くなる見込み。第二の柱では、15%の世界的な最低法人税率を導入する。売上高が7億5,000万ユーロの企業に適用され、世界で年間約1,500億米ドルの追加税収が生じると推定される。各国は来年中の多国間条約の締結と、再来年の発効を目指す。
■参考:OECD|国際社会がデジタル時代の画期的な租税条約を締結|
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20211013.html