従業員の配置は、適材適所が大事と言われる。その基準とは、従業員が能力を十分に発揮出来る部署や職務に配置する事である。工場であれば商品製造や部品・原材料の調達交渉等に向いている人もいれば、事務や研究開発等に向いている人もいる。
問題は、経験を積むうちに実績を上げて、出世して行く過程での職場(職務)異動である。例えば、工場で高度な技術を取得し、同僚や管理者から注目されるようになったとする。会社はこのような従業員を現場の指導者又は管理職に抜擢するかもしれない。その結果が首尾よく進めば適材適所の配置と言える。ところが、現実は多くの問題が発生する。優秀な技術者や販売・交渉が得意な営業マン等であっても、部下の指導や管理に有能とは限らないからだ。
そこで、適材適所の配置とは、次のような方針やビジョンを持つ事ではなかろうか。(1)一定の職務で優秀な成果を上げても、職務を異動する場合は(特に昇進)、本人の希望・性格・適性・体質等を考慮して決める(2)業績・技術上の成果=管理職への異動・昇進とは考えず、時には昇給賞与・表彰・肩書等を報酬としても良い(3)大事なことは、人事担当者と本人が日頃十分に対話を行い、希望・性格・適性等を正確に把握しておくことである。