令和2年度における協会けんぽの収支状況が公表された。同年度の収入総額は前年度から1,047億円減少し10兆7,650億円となった。収入が対前年度比で減少となったのはリーマン・ショックの影響を受けた平成21年度以来となる。
一方、支出総額は同1,831億円減少の10兆1,467億円となり、こちらも平成20年度に協会けんぽが発足して以来初の減少となった。収支差は過去最高の黒字となる6,183億円となる見込みだ。
収入の減少要因は主に保険料収入が1,321億円減少したことだ。これは新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、被保険者数の伸びが急激に鈍化した上、賃金についても標準報酬月額が緩やかに減少したこと、賞与が減少したこと、保険料の納付が困難な場合、特例として保険料の納付が猶予される制度により一部の保険料の納付が猶予されていることが主な原因となる。
一方、支出減少の要因も新型コロナウイルスの影響によるものと考えられる。コロナウイルス対策のため、手洗いやうがい、マスクの着用など衛生面の向上による罹患の減少に加えて、医療機関での受診を控える動きがあったことが大きく影響したようだ。好決算を受けて、来年度の保険料率の行方が注目される。
■参考:全国健康保険協会|協会けんぽの 2020(令和2)年度決算見込み(医療分)について|
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/file/2021071904.pdf