法人であっても社会保険未加入の企業が少なくないことは周知の事実だが、そのような企業に勤めている社員は国民年金の保険料を納付する必要がある。しかし、年金制度に対する不信感や認識不足により、保険料を滞納する者が後を絶たない。年金事務所ではそのような滞納者に対する指導を強化している。
一定以上の所得がありながら納付しない者については、かなり強硬な内容の特別催告状を送っている。被保険者本人の銀行の預貯金や給与の差押さえはもとより、本人以外にも配偶者や世帯主などの連帯納付義務者も差押えの対象となるなどと記載されており、かなりインパクトのある内容となっている。実際、これらは単なる脅しではない。年金事務所は国税の徴収ノウハウを参考に、確実に徴収する姿勢を明確にしている。
この滞納問題、本来であれば社会保険に加入させる義務がある企業に火の粉が飛んでくることも考えられる。滞納者が、「会社が社会保険に加入してくれない」などの情報を年金事務所にもたらす可能性があるからだ。場合によっては、会社が2年遡って社会保険に強制的に加入させられる事態も起こり得る。思わぬところから情報が漏れ、年金事務所からの指導を受ける可能性を理解しておくべきだろう。