江東東税務署長の敗訴取り消し 相続税更正処分等訴訟―最高裁

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相続税の課税価格と納付すべき税額をめぐり相続人と東京・江東東税務署長が長年法廷で争っている事案で最高裁第一小法廷は原審の判断を全面否認、上告人の税務署長敗訴を取り消し、被上告人である相続人の請求を棄却した。

両者は遺産分割未了前から価格と税額について法廷闘争を展開。いったんは東京高裁の判決が確定した。同訴訟ではいわゆる取引相場のない会社株式の価額が争点となった。このあと相続に係る遺産分割で調停が成立。被上告人が調停成立を理由に更正の請求をしたところ、税務署長が更正をすべき理由がない旨の通知処分と増額更正処分をした。同訴訟では取引相場のない株を含む各株式の価額を用いて税額等の計算をした更正処分等の適法性が争われた。

最高裁は、上記の場合においては、当該判決の個々の財産の価額や評価方法に関する判断部分について拘束力が生ずるか否かを論ずるまでもなく、課税庁は国税通則法所定の更正の除斥期間が経過した後に、相続税法32条1号の規定による更正の請求に対する処分、および同法35条3項1号の規定による更正をするに際し、当該判決の拘束力によって当該判決に示された個々の財産の価額や評価方法を用いて税額等を計算すべき義務は負わないと説示。本件更正処分は適法だと判断した。

■参考:最高裁判所|課税庁は,同法32条1号の規定による更正の請求に対する処分及び同法35条3項1号の規定による更正をするに際し,当該判決の拘束力によって当該判決に示された個々の財産の価額等を用いて税額等を計算すべき義務を負うか(令和3年6月24日・第一小法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90420