以前、このコラムで「BCPの策定対象」について書いたことがある。会社のBCP(事業継続計画:企業が自然災害や大火災等の緊急事態に遭遇した時、事業の継続や早期復旧を可能にする計画)や自治体等の防災ガイドは、コロナ禍のような感染症対策にあまり役に立たないという内容であった。
BCP策定の対象は、自然災害リスクの他に、火災・停電・汚染等の事故、顧客情報の漏洩、製造物責任等の法務リスク、役職員・社員の不正行為、戦争・テロ等の政治リスク、感染症・伝染病等の健康不良リスク等、挙げれば切りがないほど多い。これらに対処するBCPを一様に策定する事は困難であり、効率的にも得策ではない。 一般的に、このような多岐にわたるリスクが予想される場合は、効率性から優先順位により選択するかもしれない。確かに、頻発する自然災害や各種事故に対処するBCPだけでもリスクの相当部分をカバー出来る。しかし、コロナ禍のような感染症リスクに全く対処出来ないBCPでは困る。
BCPは、個別リスクの対応策だけではなく、社内体制作り(対策本部の機能とリーダーの力量が重要)、社内外の連絡手段の確保、メンバーへの周知・研修・訓練等を日頃から備えておく事である。コロナ禍をBCP見直しの大きなチャンスにしたい。