財務省は今般「納税環境整備に関する専門家会合」を開催した。コロナ禍では、融資や給付金等の支援において、前年同月比で売上減少が分かるのに必要な帳簿が未整備等のため申請困難な事業者からの相談が多く寄せられた。月次決算など、経営状況を把握できる帳簿の重要性が顕在化した。
事業収入を有する個人事業者のうち、青色申告は6割(正規簿記3割、簡易簿記3割)、白色申告4割。一方、クラウド会計ソフトの発達により、手間と費用をかけずに簡単に記帳できる環境が整いつつある。会合では、個人事業者を正規簿記による青色申告に一定程度誘導するような制度改正・義務化や、電子化を租税特別措置の要件とするなどのインセンティブ付与、等が必要ではないかとの意見があった。
全国青色申告会総連合からは、個人事業者に複式簿記を導入する際の要望として、1)白色申告は一定の所得金額以下の者などに対象を限定 2)農業者対象の収入保険制度、個人版事業承継税制などのように、省庁ごとに青色申告を行う利点を増やす 3)署と記帳指導機関共催の各種研修会開催や受託記帳指導の規模拡大 4)白色申告でも無記帳への罰則を設け、記帳するなら青色、青色なら65万円控除のために複式簿記へと誘導、等が挙げられた。
■内閣府・財務省|第5回 納税環境整備に関する専門家会合(2021年6月15日)資料一覧|
https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/noukan/2021/3noukan5kai.html