ビジネスモデル、企業秘密等の領得をめぐる損害賠償請求訴訟で、米カリフォルニア州の裁判所が補償的損害賠償に加え、加州民法典の定める見せしめと制裁のための懲罰的損害賠償の支払いも命じた判決の執行をめぐり、訴訟の場を日本に移して争っている事案で最高裁第三小法廷は、
民事訴訟法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払いを命じた部分が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合、その弁済が上記部分に係る債権に充当されたものとして執行判決をすることはできないと説示した。
上告人は損害賠償請求の相手方。被上告人は加州所在の企業とその設立人X1、X2両人。加州裁は判決に基づく強制執行として、相手方が関連会社に有する債権等を被上告人らに転付する旨の命令も発付。被上告人は弁済を受けたが、請求額の一部にとどまる。被上告人は残金につき民事執行法24条に基づき執行判決を請求。
高裁は残金全額についてこれを認容したが、最高裁は懲罰的賠償に係る部分と係らない部分に分け、係らない部分に限って執行判決をすべきだとした。上告人は原判決に付された仮執行宣言に基づき被上告人らに給付。民訴法260条2項の裁判を申し立てた。最高裁はこの件でも説示通りとした。
■参考:最高裁判所|民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分が含まれる
外国裁判所の判決に係る執行判決について(令和3年5月25日・第三小法廷)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90323