ジェトロでは、2020年8~9月にアジア・オセアニアに進出する日系企業に対して実施したアンケート調査で、各国の労務コスト(職種別賃金含む)を比較した。
最も賃金水準が低いのはバングラデシュで、前年比9.9%増の109ドルだった。続いてスリランカの中央値が119ドル、ラオスとパキスタンが149ドル、ミャンマーが150ドル、カンボジアが200ドルの順。インドネシアでは最低賃金付近の採用が突出していた。
中国、タイ、ベトナムの3カ国を見ると、中国の2020年の製造業の作業員の月額基本給は、中央値が前年比9.5%増の484ドル、中国の多くの都市で最低賃金の引き上げが見送られたにもかかわらず、日系企業の賃金負担増は継続している。またベトナムは9.6%増の237ドルで、同じく賃金上昇の傾向は継続している。他方、タイでは中央値が1.3%増の395ドルと、中国やベトナムほどの賃金増加はない。ただベトナムでは北部の地方省の労働コストの低廉さが目立つ。
同じ国の異なる地域では低廉に雇用できたり、反対に製造業の作業員は安く雇えそうでも、非製造業のスタッフの給与水準は高い場合などもある。国単位から地域や業種、人材像等まで絞り込んで自社にあった採用を検討する必要がありそうだ。
■参考|ジェトロ|新型コロナウイルス感染拡大後、アジアの賃金・給与水準はどう変わったか|
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2021/a9bd380c2d64c495.html