Weeklyコラム 取り替えて教える

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社員が講師となって研修をする時、誰が講師を務めるか問題になる事がある。一般に研修課題の知識や技術を持つ者が担当するが、講師によって受講者の意欲が低かったり、時には反感や妬みを抱かれたりする場合もある。親が子に勉強を教える場合に似ていて、教育内容と教える人の考え方や態度等に違和感を持つのかもしれない。

中国古典『孟子』の中に、「古(いにしえ)は子をとり易(か)えて之を教う」(昔は互に子をとり易えて教えた)とある(内野熊一郎著・加藤道理編『孟子』新書漢文大系、明治書院発行)。現代でも、この考えは通用する。上司や同僚等の講師が正しい考え方や仕事上の態度等を話しても、講師の日頃の考え方や態度と話が食違っていれば、受講者は素直に納得しない。

X社(自動車部品製造業)は埼玉県内に3工場を持つが、大きな研修を実施する場合の社内講師は、お互いに別工場の社員を選定する(例えば、A工場の研修講師はB工場の社員が務める)。子供の勉強に他人の家庭教師を付ける事と同様である。特に、講師が自分の成功例や失敗例等の経験談を話した時は、興味を持って耳を傾けるという。従来から社内研修の講師は、社員ではなく外部の専門家等が務める事が多いが、一般に受講生が緊張感を持って習得に励むようだ。