Weeklyコラム 原因と結果のバランス

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14世紀南北朝時代の武将、楠木正成は、旗に「非理法権天」という文字を書いていたそうだ。非(非道)より理(道理)が勝ち、理より法(法令)が勝ち、法より権(権力)が勝ち、権より天(天道、正しい行いをする者)が勝つというものだ。

結果には必ず原因があるもの。例えば、月10万円収入がある者が11万円の生活をしていれば月1万円不足し、ある商店の粗利が月30万円で31万円の経費を支出していれば月1万円の赤字が累積する。結果、借入金が異常に増える等、家計の破綻も商売の行詰りも決して偶然ではない。

X社(電気部品製造業)のA社長は、創業以来売上を順調に伸ばして毎期利益を計上してきたが、常に資金繰りに悩んでいた。原因は、A社長が会社から資金を借入れて各種投資(株と不動産)をしてきた事である。会社の利益が大きい時は借入を大きくして、会社の資金繰りがより厳しくなった。こんな時、相談を受けた関与税理士が経営破綻を警告したところ、A社長もその深刻さに気付き、会社の資金を引き出す事を一切しない事を誓った。また、投資していた株や不動産を処分して、全てを会社の資金繰りに使った。当然の結果であるが、徐々に会社の資金繰りが好転した。会社の金は社長個人の金ではない事を正しく認識した。