那覇市が管理する都市公園内に孔子等を祀った久米至聖廟を設置することを参加人(一般社団法人)に許可した上で、敷地の使用料の全額を免除した当時の市長(第1審被告)の行為は、憲法の定める政教分離原則に違反し無効、
第1審被告が参加人に一部期間の使用料を請求しないことが違法に財産の管理を怠るものとして、市の住民である第1審原告が、地方自治法242条の2第1項3号に基づき上記怠る事実の違法確認を求める住民訴訟で、最高裁大法廷は▽参加人の上告を棄却▽原判決中、第1審原告敗訴部分を破棄▽前項の部分につき第1審被告の控訴を却下、参加人の控訴を棄却―した。
最高裁は▽施設は外観等に照らし社寺との類似性がある▽施設で行われる祭礼は宗教的意義を有する▽施設の観光資源等としての意義や歴史的価値をもって直ちに国公有地を無償で提供する必要性と合理性はない―と説示。
使用料の免除は、市と宗教との関わり合いが、わが国の社会的・文化的諸条件に照らし、信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超え、憲法20条3項の禁止する宗教的活動に該当するとし、第1審被告には使用料に係る債権の行使または不行使について裁量はなく、全額を請求しないことは違法だと認定した。
■参考:最高裁判所|市長が都市公園内の国公有地上に孔子施設所有の一般社団法人に対して同施設の敷地使用料を全額免除した行為が憲法20条3項に違反するとされた事例(令和3年2月24日・大法廷)|
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90039