コロナ禍に関連して、働き方改革(特にテレワーク)に大きな関心が寄せられている。その課題の多くは、その効率性、仕事と生活の区分け、長時間労働、等である。
ここでは、マスコミ等があまり取り上げていない、テレワークと身だしなみについて考えてみる。さて、従来の新入社員教育と言えば、挨拶の仕方・言葉遣い・身だしなみ等の指導から始まり、段階を踏んで、仕事の進め方や指揮命令の受け方等を習得したものである。
ところが、テレワーク(在宅勤務等)は出社を前提としない為、勤め人の身だしなみが根本的に変わるのではなかろうか。少なくても、従来ほど外見を気にしなくなると思う。化粧品・服装・持ち物等の需要が減少又は変化するだけでなく、挨拶・言葉遣い・表情・笑顔等のマナーや各種身だしなみの品位が下がるのではないか。今でも接客を重視する一部の職場では、鏡を見て身だしなみを確認している。
江戸時代の有名な書物『葉隠』にも、「風体の修業は、不断鏡を見て直したるがよし。これ秘蔵の事なり。諸人鏡をよく見ぬゆえ、風体わろし」とある(山本常朝口述、和辻哲郎・古川哲史校訂、岩波文庫)。将来コロナ禍が収まっても、テレワークは衰退しないと思うが、職場や店舗において身だしなみが廃れる事は止めて欲しい。