個人情報保護に関する条例に基づき、叔父が入っている病院事業の管理者に対し診療記録等に係る開示請求をしたところ、管理者が請求人は任意後見人にすぎず、請求権を有しない旨を説明するなどしたが、請求に対する処分はしなかった。
請求人が審査庁を兵庫県知事と記載した審査請求書を知事あてに提出、管理者の不作為について審査請求をした。知事はこれを裁決せず、管理者が却下の裁決をした。請求人が(1)権限のない者がした違法な裁決の取り消し(2)知事の不作為について違法の確認(3)知事が審査請求を認容する裁決をすることの義務付け(4)管理者の不作為を理由とし、国家賠償法1条1項に基づく慰謝料の支払い―をそれぞれ求める事案で最高裁第二小法廷は、第1審判決を取り消して差し戻した原判決を破棄、被上告人(請求人)の控訴を棄却した。
請求人は上告人の代表者として知事を指定、補正を命じられたが応じていない。最高裁は(1)(4)について、被告の代表者を誤って提起された訴えで不適法、その不備を補正できない、(2)(3)について、誤った行政庁にあてて審査請求書を提出することによりされた審査請求に係る不作為の違法確認の訴え等は不適法、その不備を補正できない―と説示、第1審判決は是認できるとした。
■参考:最高裁判所|被告の代表者を誤って提起された訴えが不適法でありその不備を補正することができないとされた等事例
(裁決取消等請求事件・令和3年1月22日・第二小法廷)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89962