相続放棄は有効、承継義務なし 原処分の全部取り消し―審判所

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滞納法人の納税保証人の死亡後に、配偶者である審査請求人が納付義務を承継したとし、原処分庁が相続放棄の無効を前提として、請求人名義の不動産を差し押さえた。

請求人が相続放棄をし、納付義務は承継していないとして原処分の全部の取り消しを求めた事案で、国税不服審判所は2年4月17日、相続放棄の申述は有効であり、納付義務を承継しないと裁決。原処分の全部を取り消した。原処分庁は(1)請求人名義の金融機関の口座に振り込まれた金員(2)請求人名義の土地と建物の取得資金―について法定単純承認事由に該当し、相続放棄は認められず、納付義務を承継する旨主張。

審判所は(1)について▽相続財産に該当するが、委任契約に基づいて口座に振り込まれたものにすぎず、請求人が出金した金員を費消した事実は認められない▽請求人が振込名義人あてに送金したのは、相続放棄の申述が受理された後。相続財産の処分に該当しない。(2)について▽各不動産が被相続人に帰属する財産であることを認めるに足りる証拠はなく、相続財産とは認められない―とした。請求人や関係者の答述、帳簿等の証拠に基づき、請求人が相続財産を費消(処分)したと認められるか否か、総合的かつ慎重に認定し、相続放棄の申述が有効だと判断した。

参考:国税不服審判所||相続放棄の申述をした請求人に対して、振り込まれた被相続人の顧問料相当額を引き出した事実は相続財産の処分に該当しないとした事例(令和2年4月17日裁決)

https://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0101000000.html#a119