金融庁は「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」を新設、第1回会議をオンラインで開催した。価値ある事業の継続を支えられるような望ましい融資・再生実務のあり方について、金融機関に事業の継続や発展を支援する包括担保法制等の可能性を含めて検討するのが目的。
事務局は現行法制度について▽現在の担保法制は、個別資産の換価価値による貸し倒れリスクの低減策を用意し、事業を見ない融資をも保護する一方、事業の将来キャッシュフロー(CF)による貸し倒れリスクの低減策を用意しないために、事業を理解した融資を難しくしていないか
▽再生実務でも、現在の担保法制等の影響により事業を見ない多様な利害を持つ貸し手が併存し、事業継続に向けた調整コストが高まることで、価値ある事業の継続が難しくなっていないか―が課題とみる。
対策として▽貸し手の関心を事業の価値・将来CFに向け、事業の実態や将来性を見た融資を動機づけるため、事業の価値・将来CFから優先弁済を受ける地位を与える契約に対世効を認める(包括的な担保権)▽全体として事業価値の向上に資するよう、貸し手の規律づけを図りつつ、商取引先や労働者等を優先的に保護するなど、担保権者や債権者等との利害を調整する―必要性を指摘する。
■参考:金融庁|事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会(第1回)議事録|
https://www.fsa.go.jp/singi/arikataken/gijiroku/20201104.html