東京商工リサーチが2日発表した2020年1~9月の後継者難による倒産は前年同期比54.4%増の278件になった。
2013年の集計開始以降、20年通年では最多を記録した15年(279件)を大幅に上回るのは確実で、年間300件を上回る可能性も視野に入っている。後継者難倒産の要因は代表者の「死亡」が119件で最も多く、「体調不良」が96件と続き、この2要因で全体の8割弱を占めた。経営者の高齢化と健康不安が事業継続のリスクになっている。また、「新型コロナウイルスの感染拡大による事業意欲の低下なども影響した」と同社はみている。
後継者難による倒産件数を産業別に見ると、建設業が62件で最も多く、13年以降の1~9月では、13年同期の53件を上回り最多を更新した。以下、飲食業を含むサービス業(52件)、卸売業(49件)、製造業(45件)、小売業(37件)、運輸業(12件)などが続いている。サービス業のうち飲食業は24件と、前年同期の2.4倍に急増した。一方、金融・保険業は2年ぶりにゼロだった。形態別では、破算が246件で9割弱を占めた。このほか、法的倒産は特別清算が6件、民事再生法が1件。私的倒産は、取引停止処分が24件、内整理が1件だった。
■参考:東京商工リサーチ|2020年1-9月『後継者難』の倒産状況調査|
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20201102_02.html