20条にいう不合理に該当せず 退職金等の相違―最高裁判決

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第1審被告(東京メトロ)と期間の定めのある労働契約を締結しメトロの駅構内の売店で販売業務に従事していた第1審原告らが、第1審被告と期間の定めのない労働契約を締結している労働者のうち、

同じ業務に従事している者と第1審原告らとの間で退職金等に相違があったことは労働契約法20条(改正前)に違反するなどと主張して、第1審被告に対し不法行為等に基づき相違に係る退職金に相当する額等の損害賠償等を求める事案で、

最高裁第三小法廷は20条にいう不合理と認容した原審の判断を否認。売店業務に従事する正社員に対して退職金を支給する一方で、契約社員である第1審原告らに対して支給しないという労働条件の相違は、不合理に当たらないとの判断を示した。

理由として▽両者の職務の内容や配置の変更の範囲にも一定の相違があった▽第1審被告の正社員に対する退職金が有する複合的な性質や支給する目的を踏まえ、売店業務に従事する正社員と契約社員の職務の内容等を考慮すれば、両者間に退職金支給の有無に係る労働条件の相違があることは不合理とまで評価できない―などを挙げた。その上で住宅手当、褒賞、弁護士費用に相当する損害金とこれらに対する遅延損害金の支払いを求める限度で第1審原告らの請求を認めた。

■参考:最高裁判所|無期契約労働者に退職金を支給する一方有期契約労働者に支給しないという労働条件の相違が労働契約法20条の不合理と認められるものに当たらないとされた事例
(令和2年10月13日・第三小法廷)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89768