第1審被告(大阪の学校法人)と期間の定めのある労働契約を締結し勤務していた第1審原告が、期間の定めのない契約を締結している正職員との間で賞与、業務外の疾病による欠勤中の賃金等に相違があったことは労働契約法20条(改正前)に違反するとして、
被告に対し不法行為に基づき相違に係る賃金に相当する額等の損害賠償を求める事案で最高裁第三小法廷は、無期契約労働者に賞与を支給する一方で、有期契約労働者には支給しないという労働条件の相違が同法の不合理とは認められないとし、第1審判決を「第1審被告は第1審原告に対し5万5,110円およびこれに対する28年4月29日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え」と変更した。
原審は賞与について、同時期に新規採用された正職員と比較し、支給基準の60%を下回る部分の相違は不合理、業務外の疾病による欠勤中の賃金等についても、給料1カ月分と休職給2カ月を下回る部分の相違は不合理とし、損害賠償請求を一部認容した。
最高裁は賞与、業務外の疾病による欠勤中の賃金等の双方について、正職員と原告との労働条件や実際の職務のあり方などについて詳細に比較・検討した上で、いずれも同法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと結論づけた。
■参考:最高裁判所|無期契約労働者への支給および有期に対して支給しないという労働条件の相違が労働契約法20条にいう不合理に当たらないとされた事例(令和2年10月13日・第三小法廷)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89767