翌事業年度に計上すべき修繕費を損金の額に算入したことが仮装行為に該当するとして行われた重加算税の賦課決定処分について、審判所はその一部を取り消した。
請求人は不動産の売買及び管理を行う法人で、所有する賃貸用の集合住宅に発生していた雨漏りを防止する修繕工事の費用の見積りをH社に依頼。程なく、工事の実施を決めた。H社は納品日欄に「3.30」と記載された工事の納品書を交付。工事は3月31日の事業年度終了までに完了しなかったが、請求人はこの代金を「修繕費」勘定に計上し、損金の額に算入した。原処分庁は「相手方との通牒による虚偽の証ひょう書類の作成」を主張し、当事業年度の法人税及び地方法人税の各更正処分並びに重加算税の賦課決定処分を下した。
審判所は、○H社は3月31日までに下請業者の手配や近隣住民への説明等の準備に取りかかっており、7月末には工事が完了したこと○請求書の納品日はH社のシステムの便宜上「3.30」と入力されたに過ぎない可能性も否定できないこと○当事業年度の総勘定元帳、決算書、確定申告書及び勘定科目内訳明細書は請求人の税務代理人が作成しており、請求人代表者に過少申告の意図があったとは認められないことから、原処分の一部を取り消した。
■参考:国税不服審判所|修繕費の完了日を仮装したとまではいえないとした事例(令和2年3月10日裁決・一部取消し)
https://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0605030200.html#a118_2