退職後の健康保険利用について 注意喚起が必要

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社会保険と雇用保険の大きな相違点の1つが資格喪失日だ。雇用保険は退職日に資格を喪失するが、社会保険は退職日の翌日が資格喪失日だ。そのため、退職者が退職日の翌日も在職時の健康保険証が利用できると勘違いするケースがある。もちろん、退職日の翌日どころか、しばらく使用するなど、意図的な不正も多い。

在職時の健康保険証は退職日までしか使用できない。そのため、退職日の翌日以降に保険証を利用した場合は協会けんぽ等の保険者から返還請求を受けることになる。一般的には数万円程度の少額の債権であり、保険者も本気で回収しないのではないかとたかをくくる退職者も少なくないが、 これは大きな誤りだ。

協会けんぽではそのような不正な健康保険の利用については、返還請求を行う。これに応じない場合、裁判所への支払催促申立てや少額訴訟等の法的措置、さらには強制執行による回収を行っている。平成25年度には510件だった法的手続きは26年4月から11月時点ですでに794件に達している。財政的にも不正行為を看過できるほど、保険者ものんきな状況ではない。そのような不正行為は健保財政を悪化させ、いずれ労使双方の負担に跳ね返る。企業も退職者に注意するよう促したい。