賃金の上昇が見込めない、他業種で様々な経験をしたい、空いた時間を有効活用したいなど、動機は様々だが、本来の就業以外の副業をする人は年々増加している。
多くの企業では就業規則等で副業を禁止しているが、そもそも就労時間以外の私的行為を禁止するのは原則としてハードルが高い。社員の能力開発ややる気の向上などを目的に副業を解禁する企業も少なくない。
副業をするにあたって問題視されていたのが労災事故。ちょっとしたアルバイト程度の就労で事故が起きた場合、休業補償等はそのアルバイトでの就労による賃金で計算されるため、人によっては著しい不利益が生じかねない状態だった。
厚生労働省は9月1日から事業主が同一でない複数の事業場で働く労働者やその遺族等への労災保険給付をすべての就業先の賃金を合算した額を基礎として保険給付額を決定することにした。また、1つの事業場で労災認定できない場合であっても、複数の事業場の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を総合的に判断して労災認定できる場合も保険給付が受けられるようになる。企業としてはこっそり副業をされるよりきちんと申請させ、どこでどの程度の労働をしているか把握しなければいけない時代になったようだ。
■参考:厚生労働省|複数事業労働者への労災保険給付わかりやすい解説|
https://www.mhlw.go.jp/content/000662505.pdf