金融庁は、金融機関が借り手を全面的に支えられる包括担保法制等を含む融資・再生実務の検討に入った。令和2年事務年度 金融行政方針の中で明らかにしている。
中小企業においてコロナ禍の厳しい経営環境では、金融機関は平時より事業者との緊密な連携を図り、事業実態を理解している必要があることが、改めて認識されたとして、事業者・金融機関の緊密な関係構築を促し、価値ある事業の継続につなげていくことは、将来の危機への耐性を高める上でも、今後の日本経済の力強い回復を支える上でも重要、とした。
方針書では、「現状では、有形資産に乏しい事業者は将来性があっても依然として経営者保証の負担を負わざるを得ない場合があることや、従来の個別資産ベースの担保法制では債権者の最終的な関心が事業の継続価値よりも個別資産の清算価値に向きがちであるといった課題がある。金融機関に事業の継続や発展を支援する適切な動機付けをもたらすような、事業を包括的に把握し支える担保権等の実務上の可能性を模索していく。」とまとめている。
ただし、包括的な担保を取られるため、事業者の資金調達の選択肢を限定的にする恐れもあるといった意見もある。金融庁は今後、法務省の担保法制議論に反映させていく構えのようだ。
■参考:金融庁|令和2年度 金融行政方針について|
https://www.fsa.go.jp/news/r2/200831.pdf