不動産の明け渡し命令出せる 家事手続法の適用可能―最高裁

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婚姻から17年後に離婚した抗告人と相手方が、婚姻中に協力によって得た財産である建物等の明け渡しをめぐり争っている事案で最高裁第一小法廷は、相手方に対し抗告人へ建物の明け渡しを命ずることはしなかった原決定を破棄、東京高裁に差し戻した。

抗告人は、現在建物を占有している相手方に対し、財産の分与に関する処分の審判を申し立てた。家庭裁判所が手続法154条2項4号に基づき相手方に対し抗告人に建物を明け渡すよう命ずることができるか否かが争われている。

原審は、当該一方当事者が当該他方当事者に対し当該不動産の明け渡しを求める請求は、所有権に基づくものとして民事訴訟の手続きにおいて審理判断されるべきで、家裁は家事審判の手続きにおいて明け渡しを命ずることはできないとした。

最高裁は、家裁は財産分与の審判において、当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって、他方当事者が占有するものにつき、当該他方当事者に分与しないものと判断した場合、その判断に沿った権利関係を実現するため必要と認めるときは、家事事件手続法154条2項4号に基づき当該他方当事者に対し、当該一方当事者にこれを明け渡すよう命ずることができると解するのが相当であると説示した。

■参考:最高裁判所|財産分与審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件(令和2年8月6日・第一小法廷・破棄差戻)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89622